同意義語をそのまま残す意義 #1117
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おっしゃるとおり、計量テキスト分析において、文章中から語を切り出すことは、切片化に相当します。そのことは川端(2009: 143)において一言だけ触れられていますし、川端(2003: 47-48)の方では、その意味合いというか目的についても書かれています。 私なりに思い切って要約するならば、いったんデータから距離をとり、分析者の予断・先入観から離れることが、切片化の目的です。 切片化によっていったんバラバラになったものを、統計解析であったり、明示的なコーディングルールによって、再構成していくことが計量テキスト分析であるとも言えるでしょう。 一方で、同義語を統一する作業は、分析者側の予断・先入観をデータに押し付けることになりかねません。「語Aと語Bは同義語だ」という指定には、分析者側の予断・先入観が入り込む可能性があるからです。これは上で触れた切片化の目的と相容れません。 したがって、とくに分析の最初の段階では、同義語をまとめていない状態の(切片化したままの状態の)分析結果を見てみることをお薦めしています。その後から、必要に応じて、「文錦® 表記ゆれ&同義語エディター for KH Coder」を用いて、同義語をまとめるとよいのではないでしょうか。
p.s. |
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回答ありがとうございます。 |
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KH Coderのバージョン
3.Beta.07d
ご質問の内容をお書きください
■お使いのOS
Windows 11
■ご質問の内容
同意義語を統一したいという希望は、かなりの方が感じる希望だと思います。私も非常にその機能がないことを残念に思っていましたが、それに対して
と回答していただいいていることに対して非常に納得している次第です。
また、自由回答部分を試しにWordの置換機能を使って同意義語を統一し、分析した結果、分析結果はプレーンになりましたが、簡略化されすぎて解釈が難しくなったように思いました。この結果について考えてみたところ、同意義語を統一しない利点として、先生がおっしゃった理由の他に、文を過度に切り分けて文脈を失わないという意味もあるのではないかと思いました。
質的研究においては、文を切り分けるかどうかという議論が頻繁に行われています。私自身は文を文意がわからなくなるまで切片化することには疑問を感じているのですが、その意味での価値があるということであれば、学会発表などでもそのように説明することが可能だと思います。その点についてのご意見をお聞かせいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
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